Fantasy Short Story Collection
── 星読み通信社 特別編集部 ──
The Star Reader's News & Ten Professions
技術が世界を変えても、
変わらないものがある
── 物語の紹介 ──
星脈という魔力の流れが大地を支配する世界、テラ・ノーヴァ大陸。魔導技術の急速な発展により、「自動化」の波があらゆる職業に押し寄せている。農場、漁場、市場、神殿──かつて人の手でしかできなかった仕事が、次々と機械に置き換えられていく。
だが、その流れに抗う者たちがいる。「効率」や「正確さ」では測れないものを守るために。彼らが語るのは、手仕事に宿る記憶、人の心に触れる温もり、そして千年の時間が育んだ技の重み。
十人の職人たちの物語を、大陸一のニュース紙「星読み通信」の記事が繋いでいく。技術と伝統の狭間で、それぞれの「仕事」と向き合う短編連作集。
数字には載らない価値がある。
それを知っているのは、手だけだ
── 全10話 ──
── 十人の職人たち ──
それぞれの「仕事」に誇りを持ち、
技術革新の波に立ち向かう十人の職人たち

研究者 / 地脈農場管理人
星脈を利用した革新的農法を研究する若き学者。科学的合理性を信じる一方で、古い農場の土に宿る何かに気づき始める。
Episode 01
老漁師
半世紀以上深淵海に対峙してきた一本釣りの名手。海との対話を体で覚えた男。「魚の気持ちは、機械には読めん」が口癖。
Episode 02
仲卸人「舌の魔女」
王都市場でその名を知らぬ者はいない伝説の目利き師。一よ舟で食材の真価を見抜く彼女の前に、自動鑑定装置が立ちはだかる。
Episode 03
森番 / 楽器職人
百年樹の森を守り、その木で太鼓を作る寡黙な職人。木の声を聴くことができるといわれ、彼の太鼓は森の記憶を宿す。
Episode 04翻訳官
精霊語の微細なニュアンスを読み取れる希少な翻訳官。精霊語統一プロジェクトの波の中で、古い祝詞が持つ「響き」を守ろうとする。
Episode 05料理人
古流の料理法を守り続ける老料理人。魔導包丁では出せない「切れ味」があることを、彼の料理が証明する。
Episode 06薬草採取者
神聖な薬草「霊水菜」の採取を代々受け継ぐ守り人。祝禅と細心の作法でしか採れないその草を、機械は力ずくで引き抜く。
Episode 07聖職者
「罪食み」という古い聖職の担い手。人々の罪に対峙し、その苦しみを分かち合うことで、心の浄化を行う。機械には「寄り添う」ことができないと、彼は信じる。
Episode 08鍛冶師
千年続く手鍛造の技を受け継ぐ最後の末裔。自動鍛造機械が市場を席巻する中、火と槌だけで金属と対話する。
Episode 09
魔石造形師
魔石を削り、街を彩る造形師。設計図通りに作るのではなく、住民との対話から形を見いだす。「美しい街」とは何かを問う物語。
Episode 10── 世界観 ──
Terra Nova
星脈が張り巡らされた広大な大陸。多様な気候と風土が共存し、各地に独自の職人文化が息づく。
Star Vein
大地を流れる魔力の脈動。農業・漁業・鍛冶などあらゆる生業の根幹であり、近年その技術利用が急速に進む。
Magitechnology
星脈を利用した技術革新。自動鍛造機械、精霊探知機、自動鑑定装置など、古い職人の技を置き換えつつある。
テラ・ノーヴァ大陸最大のニュース紙。各地の出来事を「星読み記者」と呼ばれる特派記者が取材し、大陸全土に届ける。十の物語は、この「星読み通信」の記事によって繋がれていく。各話の合間に差し挟まれる記事が、大陸のいまを伝え、物語をより大きなうねりの中へと導いていく。