Story
— 物 語 —
紋章術が世界を支配する時代。聖教会は七つの聖遺物と七人の使徒によって大陸の秩序を維持していた。 だがその秩序は、本当に正しいものなのか――。
右眼に異能――呪眼を宿し、使うたびに記憶を失う青年シエル。 自らの過去から目を逸らし、辺境で傭兵まがいの日々を送っていた。 ある嵐の夜、街道で瀕死の少女を拾う。 竪琴を背負い、吟遊詩人を名乗るその少女――リーゼ。
「名前、聞いてなかった」
「……君は?」
「リーゼよ。旅の吟遊詩人。あなたは?」
「……シエル。旅の薬師だ」
嘘つきが二人、火を挟んで向かい合っていた。
互いに素性を隠したまま、旅路を共にすることになった二人。 だがシエルは気づいていた。彼女の傷は山賊の仕業ではないこと。 そしてリーゼもまた、シエルの右眼に何かを見ていた。
嘘の上に始まった関係は、やがて互いの秘密に、 そして世界の裏側に隠された真実に、二人を導いていく。
その嘘が――鎖になる。





